リスクマネジメントは・・・

最近ミャンマー、中国と激甚災害が起こって被災者の方はさぞや大変な思いをしていることかと思います。日本も自然災害に常にさらされていますので人ごとのようには思えません。
そして被害の状況が知られるにつれ、日本の現状についても危機意識が高まっているように見受けられます。日本においても震災対策の遅れが指摘されて、学校などの耐震対策が進められるようです。そして耐震対策の遅れを非難する報道も見受けられます。では、なぜ災害対策は放置されることがあるのでしょうか。それはリスクマネジメント、特にリスクコントロールの基本的な性質に根ざしているように思えます。
私自身、しばらく情報リスクマネジメントに関して活動を行ってきた経緯があり、リスク、リスクマネジメントについてはいろいろ検討してきました。そしてリスクマネジメントを実際に普及させる困難さにも直面させられたのですが、リスクマネジメントが理解されてもなぜ実現が困難について、いろいろ思い出してしまいました。
リスク対策は何かというと、確率的に発生する損害を確実に発生する対策コストに置き換える事であるといえます。一番身近な例は保険ですね。あれは、将来起きるかもしれない事故、病気で発生する損害に対して保険金を支払って貰う替わりに、定期的に保険会社に保険料(=コスト)を支払っていますね。その仕組みはリスク対策全般にいえることです。リスク対策というと特別なことのように思われるかもしれませんが、職場の5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)も立派なリスク対策です。5S活動が主に対象とするような発生頻度が高いリスクでしたら、その効果も理解しやすいでしょう。
ここで問題になるのが、発生頻度が減るに従って、対策効果よりも対策コストに目がいってしまいがちになります。また、リスク対策がうまくいっていれば、そのありがたみは空気のようになって意識されることは少なくなることもあります。すると、もともとそんなリスクを考えるのは杞憂であるとして対策費は無駄であると考えてくる人も出てきます。最近行政の無駄について厳しく糾弾されていますが、その良く問題になる例が河川改修とかかな。費用対効果を考えるのは重要で、発生頻度が大変稀であれば、もし損害が発生したら甘んじて受け入れるというのも一つのリスクマネジメントの考え方です。極端な例は、少し前の映画で「アルマゲドン [DVD]」というのがありましたが、小惑星の衝突に対してこの映画に描かれているような対策をいま立てるべきであると言えばコンセンサスが得られるでしょうか?
リスクマネジメントというのは、うまくいって当たり前、事が起こってしまえば、事前に必要性を必要性を訴えていてそれが無視されていたとしても、対策を取らなかったことを非難されかねないんですよね。