経済学者はバルカン人になりたいのか?

経済学では人間の合理性を前提に議論を進めていますが、「誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか」とは何かについてよく分からなくなってしまいました。経済学では理論を理性的に理解して強い意志で実行に移すのが合理的行動であるとされているように見受けられますが、実際の人間はそこそこ理性的で、意志の力もあるけど、感情に流されたり、欲望に目がくらんだりもする存在ですよね。それは情報の経済学や行動経済学で限定合理性として、不合理な判断を下すこともあるとして説明されていますが、そこには感情とかは本来排除されるべきものであるという信条が私なんかには感じられます。
そんなときに思い出したのが、カルト的人気を誇るテレビドラマシリーズ、スタートレック(wikipedia:スタートレック)に出てくるバルカン人(wikipedia:バルカン人)のミスタースポック(wikipedia:スポック)です。みなことがある人ですと、エンタープライズ号のカーク船長の熱血漢的で感情的な発言に対して、副長兼科学主任として「船長、その表現は非論理的です」といさめるシーンが印象的ではないでしょうか。このドラマでは、バルカン人について次のように設定されています:


地球人とのファーストコンタクトは2063年4月5日であり、これは公式上地球人初の異星人との接触となる(あくまで公式なのは、1930年代にはクワークらが、1950年代にはトゥポルの曾祖母がすでに地球に降り立っているため)。恒星間航行を習得した人類(地球人)の先輩格にあたる種族で、技術的な成熟過程にあった人類に精神的な成熟を要求し、恒星間航行を2151年まで指し止めた歴史もある。感情的な反応を強力な自制心で押さえ込む事を、強い思想的信条(宗教的戒律?)としており、非常に論理的である事を尊ぶ。儀式による精神性の追求を行い、宇宙探査も彼等にして見れば、他種族との交流によって自らの精神性を高める修行の一つである様だ。その為、ヴァルカン船は攻撃力も防御力もあまり無い。論理的であるが非情では無く、人類の事は感情的で未成熟な種族と見なす事も多い半面、活力に溢れた魅力的な種族とみなすこともある。論理的でない相手・事象には「非論理的だ」と言うのが有名である。また歳を重ねる事も、経験により更に高次な論理的精神を有する事が出来ると考え、人間の様に加齢に対する嫌悪感は全く無く、寧ろ肯定的に捉えている。

元来、ヴァルカン人は感情的な部分を強く持っており、非常に好戦的ですらあった。しかし哲学者スラクの提唱したイディック(Idic)という思想に基いて、テレパシーを用いた精神融合により感情をコントロールする術を学んだとされる。血気盛んな青年期には感情が暴走する傾向も強いため、このイディックを学ぶ事が必須とされ、論理を否定する者にはヴァルカン・マスターと呼ばれる長老的人物がイディックを教える事になる(VOYのトゥヴォックもこの経験がある)。また高齢になるとベンダイ症候群という病気(一種の加齢による精神障害)等によって、感情の抑制が効かなくなる事もある。
この信条、何か経済学者を連想されますね。さて、人類もこのような道を抱くべき何でしょうか。仏教において上座部仏教から大乗仏教が分かれたように、現実的には困難な道であるように思えますけど。