統計でウソをつく法

ちょっと統計関連ネタがつづきますが、プロパガンダ本を読んだ後にはバランスをとる意味を込めて盲点を述べた本を読み直し。「統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)」とタイトルはちょっとひねっていますが、統計の盲点を含めて真摯な気持ちで書かれています。統計の授業で、手法についてどうこう言う前にこの本の内容についてしっかりと肝に銘じておくようにといったことをいわれたような。ニューラルネットワークとか、データマイニングとかのときにも、自分も読み直しましたし、人にも勧めた本です。

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

統計手法を使う、またはその結果に基づいて判断する人は必ず読んでおくべき本であると思います。何らかの調査を行うときには期待されている結果があるのが普通なので、調査の実施再度は意識的、または無意識のうちに自分に有利な結果が出るようにバイアスをかけてしまいがちです(汗)。たとえばネットでの投票とかはどうしても問題意識の高い人が集まりがちなので、その結果偏りすぎてないかとよく思ってしまいます。あと、調査結果で賛成70%反対30%みたいな結果のときに、記事の見出しなんかで「大多数の人が賛成」とするのと「30%もの人は反対」とするのではぱっと見たときの印象がずいぶん変わってきますよね。利用者に対してはミスリードされないためには何に注意しなければいけないか、「第10章 統計のウソを見破る五つのカギ」に纏めてあります:

  • 誰がそういっているのか?(統計の出所に注意)
  • どういう方法で分かったのか?(調査方法に注意)
  • 足りないデータはないか?(隠されている資料に注意)
  • いっていることが違ってやしないか?(問題のすりかえに注意)
  • 意味があるかしら?(どこかおかしくないか?)

データに基づいて客観的に調査しましたといっても、まだそのような盲点が隠されている場合があるということです。なんか批判的なことをかいていますが、統計自体の有効性を否定したものではなく、有効性を認めつつもその盲点を指摘したものですので。
統計学を専門に目指す人だけでなく、統計に基づいた判断を行う人にもわかりやすいように、事例をふんだんに追加っているのですけど、ちょっと古いアメリカの事例であるので、原題の日本人にはピンとこないところもあるかも(苦笑)。そういった点では、最近の日本の事例をベースにした、谷岡一郎氏の「リサーチ・リテラシーのすすめ 「社会調査」のウソ (文春新書)」、「データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書)」、門倉貴史氏の「統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)」、田村秀氏の「データの罠 世論はこうしてつくられる (集英社新書)」の方がいいかもしれませんね。

リサーチ・リテラシーのすすめ 「社会調査」のウソ (文春新書)

リサーチ・リテラシーのすすめ 「社会調査」のウソ (文春新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

データの罠 世論はこうしてつくられる (集英社新書)

データの罠 世論はこうしてつくられる (集英社新書)