楽なけものみちの歩き方

梅田信夫さんが「ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)」の中で、これからの生き方として「高く険しい道を登る」と「けものみちを歩く」の2種類のスタイルを提示したのは有名ですね。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

私はというと「けものみちを歩く」派ですが、これがなかなか難しいです。梅田さんは、「けものみち力」として前書の中で

進取の気性に富む、積極性、自己表現欲求、広い問題意識、高速道路の外の世界への関心、情報収集力、行動力、積極性、勇気、スピード感、常識、明るさ、素直さ、人に好かれる正確、コミュニティ・リーダーシップ、段取り力、コミュニケーション能力、気遣い、やさしさ、柔軟性、反射神経的に判断して物事を決める力。

を上げていますが、これらすべてを高いレベルに保つのは私なんかにはとても無理です(苦笑)。ということで、自分の得意の能力で勝負しなければいけないわけです。
けものみちといっても、比較的往来のあって歩みやすいところもあれば、本当に道もあるのか分からないようなところもあります。みちがあるかどうか分からないようなところでは途方に暮れてしまいがちです。科学でもどうやって手を付けたらいいか、その分野の過去の積み重ねだけでは扱いきれないように思える研究テーマもあります。そのような一見困難に見えるテーマに挑戦するときによく行われるのが、別な分野で実績を上げた手法を利用できないか考えるというやり方です。別な場所を歩んだときの経験を、自分が歩む場所でも使えないか検討してみましょう。そうすると、一見困難だとおもった道があんがい楽に歩めるかもしれません。近代経済学古典力学の考え方を援用して成立したとはよく言われていることですね。
まあ、このやり方でも問題を起こすことがあって、ヨーロッパの比較的歩きやすい森での手法を、そのままアマゾンの密林に持ち込めば遭難してしまいます。日本でも、近場の山を歩くときの装備で鉱山に登って遭難するとか時々報道されますね。経済学の本を読んでいると、そこまで適用して大丈夫かなと思うことがあります。その見極めが難しいんでしょうけど。


さて、けものみちを歩んで成果を出すには、正しいときに正しい場所にいることが重要なんですが、これが一番難しいですね。科学史、数学史とか見ると、正しいときに正しい場所にいられなかった人が次々と出てきますから・・・。