いま「はだかの王様の経済学」が熱いようで

「はだかの王様」の経済学」に関して、「生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却 (NHKブックス)」のときよりもさらに熱い論争が繰り広げられていて、興味深くいろんな方のエントリーを読まさせていただきました。

「はだかの王様」の経済学

「はだかの王様」の経済学

目に付いたエントリーは、著者の松尾匡氏のものも含めると以下のような感じ:

具体的には「「はだかの王様」の経済学」を読んでいただくなり、各エントリーを読んでいただくなり、著者である松尾匡氏の「アソシエーション論」とか「疎外論」を見ていただくと良いかも。
私なりの感想ですが、松尾氏の主張の是非は置いておいて実現可能な集団のスケールを考えるべきではないかというのが感想です。集団のサイズが違えば、理論で扱う上で量の問題も質的な問題に変わってきます。例えば、生態学では集団のスケールとして、個体−個体群−群集と分けて考えます。あと、化学でもパイロットスケールではうまくいっても、実際のプラントスケールではうまくいかないとか。
松尾匡氏の主張ですが、直接民主制で運営できるようなスケールのコミュニティなら実現可能かもしれませんが、間接民主制をとるしかないスケールになると機能しないのではというのが私の感想です。そのスケールになると多様な価値観を持った人々が混在してきますから。そのスケールで機能するようにしようとすれば、結局のところ多様性を認めずに価値観を統制するしかない、それが山形浩生氏の批判の中核なのかな。少なくとも国家レベルまでの集団において、多様性を認めた上で機能できるシステムが市場システムであると私なんかは考えています。
一素人の感想ですが、最近の制度改革で、実際運用開始したらうまくいかなかったという例があまりに多すぎる感じで。