データの科学
「データの科学 (シリーズ データの科学)」複雑な現象を科学的に取り扱おうとしたときの一番の限界は、やはり測定手段の限界だということを再認識。
- 作者: 林知己夫
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 単行本
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調査の実際―不完全なデータから何を読みとるか (シリーズ データの科学)
- 作者: 林文,山岡和枝
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2002/05/01
- メディア: 単行本
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因果関係追求はマクロ的なものを分離し、次第に単純なものへと一方向的に分化させていく。人間の生体理解のためにミクロの世界に入り込み、さらに物理・化学にまで分解される。そこまでいって、仮に因果関係がわかったとしても(因果関係らしきものがわかったとしても)、複雑な諸要因の絡み合い、ダイナミックスで人間は生きているので、もとの人間生体の有機的現象に戻して役立てることは不可能であるように思える。しかしこれが科学の進んでいる大道である。如何ともし難いのであるが、マクロはマクロなりに考えて有用な情報を取り出す−必ずしも因果関係にとらわれない−ことも考えてよいのではないか。
結局のところ、マクロな現象を科学的に捉えることを突き詰めて考えると因果関係はいえないというのが、社会調査法を研究し続けた林知己夫氏の行き着いた結論ですね。科学でいえるのは相関関係で、因果関係が見えるのはそれを観察する人間の持つ規範であるということでしょうか。でも、信仰の成り立ちを考えると、理解できない現象に関しても因果を求める本性が人の中にあるとしか考えられませんから、そのようなスタンスはなかなか理解を得られないでしょうね。