日本でもリスクテイカーが増えた?

金融危機のニュースが毎日のごとくトップに来るとは10年前の日本を思い出しますね。今のところ大恐慌再びは避けられたようにも見えますが、まだしばらく余震は続きそうです。前回と比べて、今回も暗いトーンの報道がほとんどですが、次のようなニュースが出てくる辺り、金融危機をくぐり抜けたことで、前回とは異なる行動をとる個人投資家も増えているようで。
ネット証券申し込み急増 株価暴落で「逆張り」狙いか - MSN産経ニュース
でも、報道のされ方に気になることが。今回のような金融危機の時に、株価をPERとかPBRとかでしか語らないのは、いかがなものかと思いますけどね。会社は赤字では倒産しません。資金繰りが行き詰まるから倒産します。なので、金融危機のときには黒字倒産とかが発生します。会社の資産を切り売りすれば資金繰りが出来そうに思えますが、現在のような環境では、売れでも安く買いたたかれるか、そもそも売ることも出来なかったりしますから。PBR一倍割れなんかになるのも、株式自体の需給の問題もありますが、もし精算したときの価値が簿価を下回ってしまうと投資家が考えてしまうからでもあるわけで。財務状況が不透明になるという批判があるにもかかわらず時価会計の凍結が議論されているのも、流動性が問題視されている現状では破綻した会社の資産が買いたたかれて、それが「時価」ということになると、同じ資産を持っている他の企業も減損処理を迫られて、連鎖的に危機が広まるおそれがあるからですよね(たぶん)。確かにいまはチャンスではありますが、単に安いからというだけで株式を買うと一転ピンチに陥る可能性もありますので。
米国も、著名な投資家であるWarren E. Buffett氏が本格的に株に投資すると宣言したことで、雰囲気が変わりそうです。
Op-Ed Contributor - Buy American. I Am. - NYTimes.com
Buffett氏が本格的に出動するのはもう少し後になるかと思っていたのですが、案外早い出動ですね。資金繰りの厳しいところは、売りやすい優良資産から先にたたき売りしてくるので、早いほうが優良資産を安く買えると思っているからかな。そういえば、Buffett氏は証券アナリストの話は聞かずに、債券アナリストの話を聞いて投資していると語っていましたね。危機の時に優良資産を安く仕入れるという投資スタイルを考えると、企業の存続可能性を重視するのは当然のことなんでしょうね。
先の記事を見ると、株価の回復についてBuffett氏は楽観的に考えています。


A little history here: During the Depression, the Dow hit its low, 41, on July 8, 1932. Economic conditions, though, kept deteriorating until Franklin D. Roosevelt took office in March 1933. By that time, the market had already advanced 30 percent.
でも、債権国だった前回と、債務国である今回で同じパターンをとるのでしょうか。前回の大恐慌の時は震源地の米国以上に債務国諸国の方が厳しかったような。日本の金融危機の時は、曲がりなりにも自国内の資金で処理しましたが、米国の場合は資金を集めなければいけないので、日本と同じくドル安誘導で景気てこ入れも出来ないでしょうし。専門家の皆さんのブログを徘徊してみても、株式メインの方と比べてクレジット、債券メインの方の間で温度差を感じるんですよね。Buffett氏の場合は長期投資で、10年単位で結果が出ればいいと考えているので、今回の混乱を切り抜けられる企業なら、いずれ大きなリターンを期待できると考えているんでしょうけど。
毎日ニュースで目にするので、素人の私なりに感じたことをちょっと書いてみました。