危機だと思いこんでいただけ?
昨日こんなエントリーを書きましたが、やっぱり素人が経済について語るのは危険なのかなあ。田中秀臣氏のブログの記事、「「よくある不況」論と金融危機をめぐる四つの神話 - Economics Lovers Live」で、ミネアポリス連銀のエコノミストが論文「Four Myths about the Financial Crisis of 2008」のなかで今回の金融危機で一般に信じられていることは、連銀のデータを分析してみると神話に過ぎないよと分析しています。
金融危機を巡る4つの神話:
- Bank lending to nonfinancial corporations and individuals has declined sharply.
- Interbank lending is essentially nonexistent.
- Commercial paper issuance by nonfinancial corporations has declined sharply and rates have risen to unprecedented levels.
- Banks play a large role in channeling funds from savers to borrowers.
確かバランスシートが肥大化して中央銀行の健全性に懸念を示されるまで、中央銀行自身がインターバンクに流動性を供給していたり、CPを買い取っていたりしていたと思うんですが。中央銀行は不要なことをしていたと主張しているわけではないですよね。私の理解力では、もとの論文が次の2つのうち、どちらを主張しているのか分かりませんでした:
- 中央銀行の金融政策の対策によって、危機といわれているものの実態は政府や報道機関が言っているほど深刻ではない
- そもそも問題がそれほど深刻ではなかったのに、政府や報道機関の反応が危機を深刻化させてしまった
現在の状況になってしまったのは、「Marginal Revolution: Where is the Credit Crunch? III」のなかで紹介されている「Availability Cascades」が発生してしまったということなんでしょうけど。災害時に群集がパニック状態に陥ったときにみられるインフォメーションカスケードが事態を深刻ささせたというのはその通りかな。カスケードが発生してしまったときに、どこまで手を打てば連鎖を食い止められたかということで。しばらく論争がしばらく論争が続きそうですね。
経済学に関しては素人ですが、リスクマネジメントに関わっていたこともあるので、危機をその対策についてはどうしても興味を引いてしまいます。