一旦沈静化すると思われたものの

欧米の公的資金注入で一旦沈静化すると思われた金融危機ですが、いまだにトップニュースになっていますね。予想以上に早く新興国に飛び火してしまって、10年前を思い出してしまいました。金融危機では信用収縮が進んでいく過程で、基本的に債務国である新興諸国で金融危機が発生するというのが毎回繰り返されるパターンなので、今回も危機が発生するだろうなとは思っていたんですけど。ただ、危機が表面化するのは年明け以降かと思っていたので、10年前と比べると展開の早さは倍以上に感じます。
今回の危機が深刻化したのは、市場の失敗ではなく規制の失敗だという意見がありますが、あながち否定できないような。いままで実施された規制強化の流れを見ていると、規制強化の効果よりも副作用の方が強すぎて、期待に反して市場が不安定化しているとしか思えなかったり。投機的な動きを押さえたいなら、実際実施したような空売り禁止でなく、一部実務家が提唱していたような証拠金の引き上げを行っていれば、こんなにボラタイルな動きにならなかったかと。この辺の問題を議論していたブログもありましたが、ブックマークして無くてちょっと見つけ直せませんでした。不適切な規制を例えてみると、コレラの下痢症状を押さえるために水を飲ませないようにしたら脱水状態がひどくなってしまったとか、自然公園の草食動物を保護するためにオオカミを害獣として駆除したら生態系が壊れてしまったとか。
前回のエントリーで対症療法とか書きましたが、表面的に見える問題を取り繕うことではありませんから。当局はそのような問題をしっかり押さえて応急措置をした信じたいですが、一抹の不安が。ニュース見ると未だに金融危機がトップニュース扱いなので、素人なりに感じたことを勝手に書いてみました。
(追記)
SECから金融株の空売り禁止発表直後には、現物株とETF裁定取引に支障出るとか、ヘッジ売りできないから増資のために転換社債を事実上発行出来なくなるとか、話題になっていた記憶があります。空売り禁止を唱えている人って、裁定取引のために空売り出来ることが必須となる、ETFとかインデックス型投信にも暗に反対していると考えて良いのかな。転換社債のための現物株ヘッジ売りは例外にして欲しいと陳情したというニュースもあったような。