朝三暮四

経済政策の有効性の議論って、経済政策で人々の期待が変えられるかという問題だと理解しています。
麻生首相、3年後に消費税増税 解散は当面先送りの意向 - MSN産経ニュース
景気対策します、でも3年後には消費税増税しますでは、それぞれの政策に関わる期待が相殺して、結局期待が変わらないように思えるのは私だけではないはずです。
麻生首相 「消費税上げ表明」も実現へのハードルは高く - MSN産経ニュース
消費税増税に関しては反発強かったのか3年間は増税しないということだと補足しているようですが、このニュース見てとっさに次の故事が頭に浮かびました。


1.19 朝三暮四
非常に猿と戯れるのが好きな男がいた。この男は家族のことも放っておいて、猿を可愛がるものだから、餌の時間になるといつも猿が寄ってくる。ところが、それが原因である日、奥さんに「猿の餌を減らしてくれないと、子供たちの食べる物までなくなってしまう」と窘められてしまう。困った男は何とか猿たちを籠絡しようとし、一斉に呼びかけた。これからは「朝には木の実を四つ、暮(ばん)には三つしかやれない」と告げるも、猿たちは皆不満顔。それならば「朝は三つ、暮は四つならどうだ」と言うと、何と猿は皆、納得してしまったのである。
そこから「朝三暮四」は、人を巧みに言いくるめて騙すこと、また猿の立場から、物事の根本的な違いに気付かない愚かな人を指す言葉となった。
段階的に消費税を上げていけば、その都度駆け込み需要が発生して景気回復につながるという議論もありますけどね。でも、緊急景気対策を行う状態の時には、景気対策を無効化するだけだと思うんですよね。景気対策財政支出は、消費税増税とか持ち出さずに将来の景気回復による税収増で賄えますと説明すべきだったのではないでしょうか。日本経済で合理的期待形成仮説(wikipedia:en:Rational expectations)の実証実験でもしたいのでしょうか?
健康保険も年金も制度としては実質破綻状態にあるので、社会保険料ではなく消費税で賄うようにするという議論はありだと思いますが、消費税増税景気対策とリンクさせて説明したのはいかがなものかと。消費税については長期的な問題として分けて話すべきだったと思うんですよね。これで景気対策が効果なしということになれば、消費税に関する議論は逆に封印されてしまうような。