「分野ごとのグローバルネットワーク」と「合法性のユニバーサルコード」
また更新の間隔が空いてしまいました(汗)。
ブログ界の論争で同じ社会問題を議論していても、経済的思考をとる論者と法的思考をとる論者の間で議論が平行線をたどったままというのが頻発しているように思われます。また、XBRLが普及しているのと比べると、LegalXMLとかはとても影が薄い感じです。以前磯崎氏が「オープンな法体系(SF小説風)」といエントリーを書かれましたが、そのような時代がいつくるのか皆目見当も付きません。法的情報のどのような点に原因があるのかも気になっていました。
法的思考とはどんな考え方なのか、基礎から押さえておこうと言うことで「現代法学入門 (有斐閣双書)」からお復習いです。
- 作者: 伊藤正己,加藤一郎
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 単行本
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「分野ことのグローバルネットワーク」の考えたが面白いのは、国家的な制裁なき法的システムを考察していることです。統一された法体系ではなく、分野ことに形作られた法のネットワークを想定しています。この考え方で面白いのは、法秩序の維持に国家による制裁が必然ではないと示していることです。
国家的な裁判制度という組織されたサンクションを知らない非国家的な法の場合、グローバルな契約みずから、仲裁制度のような制度的基盤を生み出し、それを産駒ションのシンボルとして法的コミュニケーションが行われるのだ、とされる。
分化したネットワークを想定するトイブナーに対して、ギュンターは人々が共通して希求する観念、原理、規則、制度の原理を「合法性のユニバーサルコード」を想定しています。
ギュンターが師のハーバーマスと同様に「人々が一個の法共同体への結合をめざす遂行精神の、普段の活性化」を期待し、それによって「非同時的なものの同時性」(進んだものと遅れたものの同時存在)を克服仕様とするからであろう。
トイブナーとギュンターとでは法の考え方がまったく対照的になっています。これは、それぞれ経済法と刑法をバックグラウンドに持っていることに影響されているように思えます。
入門書ということで分量が限られていることと、私自身の素養が不足していることもあって、本書の内容からだけでは残念ながら論旨をつかみきれていませんので、結構誤解もあるような。