経済学って難しいですね
健康問題というのは多くの人の関心事であり、身近な問題であるわけですが、現代医学で解決できない問題も多く残されています。その分だけ代替医療(wikipedia:代替医療)が注目されるわけですが、現代医学の立場に立つ人との間で常に論争が繰り広げられています。経済問題に関しても同じ現象があるようで、代替経済学的な主張に対して近代経済学の立場から「複素経済学、反経済学、ビオ経済学、進化政治経済学、など等 - Economics Lovers Live」というエントリーを書きたくなる気持ちも分かるかも。私も最近経済がらみのエントリーをいくつか書いてきましたが、ミクロ経済学やマクロ経済学に関して昔初級的な教科書を読んだくらいでしたので、せめて中級レベルの本くらいは読まないといけないかと、
「スティグリッツ ミクロ経済学」と「スティグリッツマクロ経済学 第3版」を読了。そのせいで最近盛り上がっていた話題について書く時期を逸してしまいましたが。
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- 作者: ジョセフ・E.スティグリッツ,カール・E.ウォルシュ,Joseph E. Stiglitz,Carl E. Walsh,藪下史郎,清野一治,秋山太郎,宮田亮,蟻川靖浩,大阿久博,木立力
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著名な経済学者であるマンキュー教授が書いた「科学者とエンジニアとしてのマクロ経済学者」で詳しく書かれているように、経済学には科学としての実証経済学と、工学としての規範経済学があります。経済学の教科書ではそれが混ざっているので、現実の観察に基づく仮説なのか、規範に基づいた仮説なのかよほど注意して読まないと区別が付かないんですよね。そのため、反証主義でいうところの信頼性がどの程度のものか結構悩みました。規範に関しては、近代経済学の元祖ともいえるアダムスミスが「国富論」を書く前に規範(倫理学)としての「道徳感情論」を表したように、前提としての規範をもっとはっきりと書いた方が無用な誤解を生まないように思えるのですが。前に書いたように、その規範に同意できない人からは反論が有るとは思いますが、争点のずれは少なくなるように思えます。
あと、誤解を生んでいるのはスケールの問題かな。生態学(wikipedia:生態学)では生物の集団のスケールに関して、「個体」、「個体群」、「群集」というレベルで分けてそれぞれのレベルで個体群生態学とか群集生態学とかのように理論を構築しています。「スティグリッツ ミクロ経済学」と「スティグリッツマクロ経済学 第3版」を合わせて読んだ感想ですが、ミクロ経済学は個体群生態学に相当し、マクロ経済学は群集生態学に相当するように思えます。そして、ミクロ経済学の説明は個体レベルの理論に見えて、実際は個体群レベルでの議論をしているので、個体レベルの議論をしていると思っている人からは、うまく説明できていないと批判してしまうのでしょう。個体レベルの経済学は「誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか」みたいな話になるのではないかと。
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それにしても改めて思ったのは、因果を決めるのは規範であって、科学でいえるのは物事の関係(相関)だけではないかと。言い過ぎかな。