会社の論理と労働者の論理、そして生活者の論理

「雇用はなぜ壊れたのか―会社の論理vs.労働者の論理 (ちくま新書)」は労働問題に関する本で、なかなか興味深い分析をしていると思って読んでみました。労働法の専門家による現在日本が直面している労働問題を論じた書ですが、副題の「会社の論理vs.労働者の…

時代考証を気にしすぎると楽しめないかも

「天使と悪魔」が公開されたのに合わせて「ダ・ヴィンチ・コード」が地上波で放映していますが、細かな時代考証が気にしすぎると楽しめないかも。秘密結社の暗号、キリスト教の歴史にこだわるとすれば、ラテン語、ギリシャ語、さらに凝ればアラム語(wikipedi…

脳機能イメージングの発展と限界

最近はfMRIに代表される脳機能イメージング技術が発展して、脳のイメージングデータに基づいた研究がいろいろ発表されています。昔と比べるとこんなことも分かるようになったんだと思った反面、「えっ?」と思うような発表を見ることもあります。そのような…

温度ってそうゆうことか

前に書いたことあるかもしれませんが、大学時代熱力学の授業は苦痛でした。なぜそう考えるのか納得できないまま、式や量が出てくるからです。エントロピーは良いとして、エンタルピーや自由エネルギーってなぜ必要なのとか。統計力学になってようやく少しは…

シーシュポスの岩

「Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies(邦訳:銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎、銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎)」でピュリッツァー賞を受賞したジャレド・ダイアモンドによる「文明崩壊 滅亡と…

司法制度改革と規制緩和

司法制度改革というと、裁判員制度の導入と、そして法科大学院中心の放送養成制度への変革に注目が集まっています。しかし司法制度改革は規制緩和と相互に補完的な制度改革だったはずではないでしょうか。「超訴訟社会 (コンパクトシリーズ)」は、日本の制度…

このまま行くと、オフショアリングか、外国人エンジニアにたよるか?

昔仕事がらみでお話を聞くことがあった今野先生の「「理工系離れ」が経済力を奪う 日経プレミアシリーズ」、読ませていただきました。「理工系離れ」が経済力を奪う 日経プレミアシリーズ作者: 今野浩出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2009/04/01…

代謝とか恒常性で十分説明できる?

賛否両論のある「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」を私も読んでみました。動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか作者: 福岡伸一出版社/メーカー: 木楽舎発売日: 2009/02/17メディア: 単行本購入: 28人 クリック: 282回この商品を含むブログ (162件) を見る…

「由らしむべし、知らしむべからず」からの脱却

情報システムの費用対効果分析とかやっていた時期があったので、「人でなしの経済理論-トレードオフの経済学」は結構楽しく読めました。人でなしの経済理論-トレードオフの経済学作者: ハロルド・ウィンター,山形浩生出版社/メーカー: バジリコ発売日: 2009/…

なぜ解雇規制緩和に抵抗するのか少し考えてみた

解雇規制緩和について論陣を張っているmojixさんが、「常木淳 「不完備契約理論と解雇規制法理」 - Zopeジャンキー日記」で興味深い論文を紹介されていました。 不完備契約理論と解雇規制法理 この論文は現在は独立行政法人 労働政策研究・研修機構が出して…

Public Data Sets on AWS

GAEとの比較でAWSを見ていたら、一般に公開されているデータセットのミラーをAWSでホスティングしていて、EC2から無償で利用できるんですね。 Public Data Sets on AWS もちろん自分自身で使っている計算資源に対しては課金されますが、Public Data Sets on …

GAE/J上での動作状況

先日エントリーで取り上げたGAE/Jですが、JVM上に実装されたプログラミング言語の処理系や、主なフレームワーク、ライブラリの動作状況は以下のページで確認できます。 Will it play in App Engine - Google App Engine for Java | Google Groups プログラミ…

紛争の戦略

梶ピエールさん(id:kaikaji)とBaatarismさん(id:Baatarism)の、北朝鮮政策に関するトレードオフの考え方が対照的でなかなか面白く読ませてもらいました。 経済学的思考のすすめ - 梶ピエールの備忘録。 テポドンの経済学 - Baatarismの溜息通信 BMDを棄つる…

書籍管理はメディアマーカーに落ち着く

蔵書管理とかは、ExcelやAccessで管理してみたり、先行する蔵書管理サービスをいくつか使ってみたりしたのですが、管理の仕方が私の考えているものに一番近いメディアマーカーに落ち着きました。 メディアマーカーでは基本的にAmazon.co.jpの登録データセッ…

統計の誤用と確証バイアス

「愚の論理: 寄与度」を読んでwikipedia:en:Misuse of statisticsを思い出してしまいました。単純にデータを眺めただけだと確かにいろいろな罠がありますからね。私も統計学演習の時間、まともな結果を出した後で、大気汚染物質の濃度と呼吸器系疾患の罹患率…

Google App Engine for Java

Google Readerの未読に埋もれていて気づかなかったのですが、前から噂のあったGoogle App Engine for Java (GAE/J)が発表されていたんですね。 Google App Engine Blog: Seriously this time, the new language on App Engine: Java™ 今年のGoogle App Engin…

「分野ごとのグローバルネットワーク」と「合法性のユニバーサルコード」

また更新の間隔が空いてしまいました(汗)。 ブログ界の論争で同じ社会問題を議論していても、経済的思考をとる論者と法的思考をとる論者の間で議論が平行線をたどったままというのが頻発しているように思われます。また、XBRLが普及しているのと比べると、Le…

フローとストック

更新間隔ずいぶん空いてしまいましたが、少しずつペースを戻していきたいと思います。(汗) 少し前に話題になった「資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言」を今更ながら読んでみました。資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言作者: …

謹賀新年

明けましておめでとうございます。 しばらくここの更新さぼっていましたが、バイタルサイン代わりに新年の挨拶を申し上げます。年も変わって更新もまめにしていきたいと思います。

1930年代再び

政治・経済の状況がだんだん1930年代に似てきているのがいやな雰囲気です。大正デモクラシーの自滅が昭和初期になにを引き起こしたのか、思い起こさずにはいられませんでした。この国の民主主義は再生できるのでしょうか?そう願わずにはいられません。

文学教育の前にすることがあるのでは?

梅田氏が「水村美苗「日本語が亡びるとき」は、すべての日本人がいま読むべき本だと思う。 - My Life Between Silicon Valley and Japan」で取り上げて以来、「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」がブログ界で話題になっていますので、私も早速読んでみ…

良くある悲劇の物語かな・・・

未読のまま埋もれていた「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)」が発掘されたので、毀誉褒貶の激しい本書を読んでみました。自分と異なる意見の持ち主の本を批判的に読むのも面白いですからね。タイトルだけで見ると「生命とは何か」を突き詰めた科学エッ…

オバマ大統領誕生ですね

事前予想通り順当にオバマ氏が大統領選に当選しましたね。近年では最悪の状態を引き継ぐ形で大統領に就任するだけに、厳しい政権運営が続くでしょうが変革で立て直すことを期待しています。それにしても何かと黒人初と報道されていますが、人種、出自で差別…

生物、社会等をシステムとして捉える

今回の金融危機などで"collateral damage "の可能性が事前に見過ごされてしまうのはなぜかと思ったところから疑問が生まれたのですが。なぜ発生したのか、どのように対策すればについていろいろ議論されていますが、すれ違いも多々見られます。心理、社会、…

Study? Research?

科学の四象限について - 赤の女王とお茶をで、研究活動の分類について考察されていますが、日本で研究という言葉が定着する過程で、本来異なった意味合いの概念が混同されているように思えます。英語では"study"と"research"という異なる言葉で表現されてい…

朝三暮四

経済政策の有効性の議論って、経済政策で人々の期待が変えられるかという問題だと理解しています。 麻生首相、3年後に消費税増税 解散は当面先送りの意向 - MSN産経ニュース 今景気対策します、でも3年後には消費税増税しますでは、それぞれの政策に関わる…

無謬性、行為の自由

今回の金融危機によって市場をベースとした資本主義に対しても疑念を呈されていますね。そしてその理論的バックグラウンドである新古典派経済学も防戦一方といった感じです。新古典派経済学者はフリードマンを代表としてリバタリアニズム(wikipedia:リバタリ…

一旦沈静化すると思われたものの

欧米の公的資金注入で一旦沈静化すると思われた金融危機ですが、いまだにトップニュースになっていますね。予想以上に早く新興国に飛び火してしまって、10年前を思い出してしまいました。金融危機では信用収縮が進んでいく過程で、基本的に債務国である新興…

ソロモンの指輪

最近ドーキンス博士の本を読んだり、人の行動に影響を与える遺伝子が分かってきたという記事を見たりした影響なんですが、動物行動学を確立したコンラート・ローレンツ博士の「ソロモンの指環―動物行動学入門」を読んでみました。ソロモンの指環―動物行動学…

危機だと思いこんでいただけ?

昨日こんなエントリーを書きましたが、やっぱり素人が経済について語るのは危険なのかなあ。田中秀臣氏のブログの記事、「「よくある不況」論と金融危機をめぐる四つの神話 - Economics Lovers Live」で、ミネアポリス連銀のエコノミストが論文「Four Myths …